日本語と漢字(5):漢字尻取りゲーム夜中に学ぶ

 先の日本語と漢字(4)で書いたゲーム1の発展性について考えてみた。参加者のうち二人(三人でもよい)手を上げて別々の熟語を挙げたとき、その各々が出発点となって続いていくというルールにする(つまりどのノード(熟語)からでも分岐と継続を認める)。たとえば「分解」から「分子」、「解決」という二つの答えが出たとしたら、それぞれ次の経路が生まれるのである。

 このルールにする(ゲーム2とする)とゲーム1では熟語が単線で繋がるのに対して、このゲームでは模造紙上に熟語の線が網の目状に(ネットワークという)なってくる。熟語という世界にネットワークという網目が出現するのである。このネットワークがある程度大きくなれば同じ、熟語が複数回、別々のところに出てくることが生じるであろう。指導役はその連結を線で結びつけ、知識はどんなものであれ、繋がりを持つように出来ていることを教えることである。熟語の出現頻度に差があることも、ゲームを繰り返すうちに理解できる(使った模造紙はためておけば時系列で成長を実感できる)。出現頻度に差があることを知るのは、語彙学習の優先を決める上で、有用な戦略であることも教える(よく出てくる言葉は優先してしっかり覚える)。このようにルールを少し変えることでゲームの発展性が変わることも教えればなおよい。

 次の発展形は、模造紙にネットワークとして書かれた熟語を二つ使って短い文章を作ることにする(ゲーム3)。このゲームも始める前に指導役が模造紙に書かれた熟語を任意に二つ選んで、何か短い文章を作って手本を見せる。たとえば「この問題解決した」「東京旅行した」「選挙落選した」などである。できれば和語で言い換えることができる熟語はその言いかえも示すと、和語が漢字熟語を取り入れることで具体的な日本語(和語)から、抽象化の進んだ日本語へと段階を上げる機能があることが示される。このことは、日本語の表現と思考が二重構造をなしていて、外国人学習者が習得に難しさを覚える理由でもある。とは言え、日本語が教授言語として、また学術領域で英語などに劣らない論理を組み立てられる根拠となった(日本語は曖昧性「=文脈依存性」と厳密性の両立に苦闘してきたのである)。初学者にそこまで教えることはないと思うがN3ぐらいのレベルでは、ゲームを試してみる価値がありそうである。1枚の模造紙しかなくとも、楽しく繰り返し挑戦できればこれに優るものはない。このアイデアを英語学習に応用できないかと思案するのだが…

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